便秘対策は、キホンを知ることから

知っておきたい「便秘」のこと

便について

理想的な便

便を観察することで、腸内細菌が健康的な状態であるかどうかをチェックできる方法があります。色は黄色から黄色がかった褐色で、柔らかいバナナ状でにおいがないのが理想です。逆に悪臭があり黒っぽい色の便は、腸内細菌のバランスが悪い状態です。

便中の水分量は、一般的に理想的とされるバナナ状の便で約70~80%を占めます。水分量が70%を下回ると便は硬くなり、「便秘」になりやすくなります。一方、水分が80~90%になると「軟便」の状態になり、90%を超えると、「下痢」の状態になります。

便中の水分以外は、食物繊維など食物のカスが約5%、腸内細菌やその死骸が10~15%で、成立しています。大腸の一部の細胞は、腸内細菌が食物繊維を分解して生じる栄養分で活動しています。すなわち、大腸が正常にはたらくには、腸内細菌が重要であり、乳酸菌が少なくなると、腸内細菌のバランスが崩れ便秘や下痢などの症状が起こりやすくなります。

ブリストル便形状スケール

便の色

便の色は、胆汁からでるビリルビンという黄色い物質に影響しています。ビリルビンは、腸内細菌の働きによって、褐色のウロビリンという物質に変わります。このウロビリンが茶褐色の便の色になります。何らかの原因で胃や腸から出血があると、便の色は黒くなります。また血に近い色の便は、結腸や直腸、肛門などから出血している可能性があります。便の色は、健康の判断基準になるため、しっかり観察しましょう。

便を出す仕組み

人は食物や飲み物を消化して、必要な栄養分を吸収し、残りを体外に排泄します。平均的な日本人だと、口から肛門までの距離は約9mあります。また口から入った食物は、約24~72時間で便として排泄されます。

消化吸収は主に胃や小腸で行われます。水分も小腸でほとんど吸収されます。栄養分を吸収された内容物は大腸に送られ、ぜん動運動によってゆっくりと進む間に、水分調節が行われて便になります。

大腸は盲腸、結腸、直腸の3つの部位から成り立っています。一番長い結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸の4つからなる管状の臓器です。腸の内容物は、大腸に到達したときはかゆ状で、大腸の運動により腸管内を通過し、ナトリウムなどの電解質や水分が吸収され、固形状の便になっていきます。大腸の粘膜は、腸液を分泌しています。この腸液が、便の滑りをよくしています。

大腸内で作られた便はS字結腸にたまり、ある程度以上便がたまると直腸に押し出されます。直腸は通常は空ですが、便が入り内側に押し広げるとその刺激が脳に伝わり、便意を感じます。これを排便反射といいます。排便反射により、内肛門括約筋は開きますが、この時点ではまだ便は出てきていません。トイレに行き、体勢がととのっていきむと、その力で外肛門括約筋が開き、ここではじめて便が出てきます。

大腸

食後にトイレに行きたくなる理由

肛門には自分の意志ではコントロールできない内肛門括約筋と、意志でコントロールできる外肛門括約筋があり、通常は閉じた状態です。

直腸に一定量の便がたまると、直腸が感知して、便がたまったシグナルを脊髄に送ります。その後、脊髄で排便反射がおき、直腸が収縮して便を押し出すと同時に、内肛門括約筋が開きます。

それと並行して便がたまった刺激が大脳に伝わると便意が生じます。 このときトイレにいける状態にあれば、自分の意志でトイレに行き、外肛門括約筋が開き、いきんで排便します。
逆にトイレに行けない状態のときは、外肛門括約筋を自分の意志で締め、がまんします。

結腸は常に少しずつ内容物を進めていますが、一日に何度か、大きく強く動いて一気に便を直腸に押し進める大ぜん動が起こります。

そのきっかけのひとつが食事になります。食事をして胃に食べ物が入り刺激されると胃・結腸反射が起こり、結腸にぜん動運動が起こります。このぜん動運動によって、直腸内にまとめて便が送られて便意が生じます。食後にトイレに行きたくなるのはこのためです。胃・結腸反射は、朝食をとった時に特に活発になるのが特徴なので、朝食を食べないでいると、便意が起こる機会が減り、便秘になりやすくなります。

朝ごはん